介護福祉士とは?根拠となる法律・6つの義務と罰則を解説
介護の現場で仕事をするなら、介護福祉士を目指したほうがいいと言われました。介護福祉士は、普通の介護職員と何が違うんですか?
介護福祉士は、介護に関する専門的な知識や技術を持つことを示す国家資格です。
資格については法律で定められているので、試験対策としても確認しておきましょう!
介護福祉士は、介護に関する専門的な知識や技術を持つことを示す国家資格です。
介護の仕事に就くために、必ず取得しなければならない資格ではありませんが、介護福祉士には法律で定められた役割や義務があります。
また、介護福祉士の資格は、国家試験に合格するだけでなく、登録を受けることで正式に名乗ることができます。
この記事では、介護福祉士の根拠となる法律や定義、義務、罰則、医療的ケアについて解説します。
国家試験でも問われる重要な内容なので、法律の条文とその意味をあわせて理解しておきましょう。
- 介護福祉士の根拠となる法律と定義
- 介護福祉士の欠格事由
- 介護福祉士の6つの義務等と罰則
- 介護福祉士が行える医療的ケア
介護福祉士と介護士ってどう違う?
介護の仕事をしている人を表す言葉には、「介護士」「介護職員」「介護スタッフ」「介護福祉士」などがあります。
これらには、どのような違いがあるのでしょうか。
まず、「介護士」は、介護の仕事をしている人を指す一般的な呼び方です。
「介護職員」や「介護スタッフ」も、介護の仕事に従事している人を表す言葉として使われています。
一方、「介護福祉士」は、法律に基づく国家資格の名称です。
介護福祉士は「名称独占資格」であり、資格を持たない人は「介護福祉士」と名乗ることができません。
ただし、介護の仕事そのものは、介護福祉士の資格を持っていなくても行うことができます。
つまり、介護の仕事をすることと、介護福祉士と名乗ることは別なのです。
介護福祉士とは
介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」を根拠とする国家資格です。
この法律は、1987年(昭和62年)5月26日に公布されました。
社会福祉士及び介護福祉士法では、資格の定義や取得方法、登録、義務、罰則などについて定めています。
ここからは、試験でも重要となる法律の内容を確認していきましょう。
介護福祉士が誕生したのは…
「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定されたのが、1987年5月26日。
第1回の国家試験は、1989年(平成元年)に実施されました。
初回受験者は、11,973人。合格率はたったの23.2%。2,782名の介護福祉士が誕生しました。
その後、介護福祉士に求められる役割は、介護を取り巻く環境の変化に合わせて見直されてきました。
2007年には法律が改正され、介護福祉士の定義や義務に関する規定が見直されました。
また、2012年からは、一定の条件を満たした介護職員等による喀痰吸引等が制度上認められるようになり、2016年度からは介護福祉士の業務として位置づけられています。
介護福祉士の「定義」
介護福祉士の定義は、「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条第2項に定められています。
この条文では、介護福祉士がどのような資格なのか、どのような業務を行うのかが示されています。
(定義)
第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。2 この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰かくたん吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
特に重要なのは、次の3つです。
介護福祉士の定義(ポイント)
- 介護福祉士の登録を受け、名称を使用すること
- 専門的な知識と技術をもって、心身の状況に応じた介護を行うこと
- 介護を必要とする人や、その介護者に対して介護に関する指導を行うこと
また、法律で定められた喀痰吸引等も、介護福祉士の業務に含まれています。
ただし、喀痰吸引等を実施するには、別に定められた要件を満たす必要があります。
試験対策では、特に「登録」「専門的知識及び技術」「心身の状況に応じた介護」「介護に関する指導」という言葉を押さえておきましょう。
介護福祉士の欠格事由とは?
介護福祉士の資格を取得するためには、必要な条件を満たすだけでなく、法律で定められた「欠格事由」に該当しないことも必要です。
欠格事由とは、法律上、その資格を取得できない理由となる事柄のことです。
介護福祉士の欠格事由は、「社会福祉士及び介護福祉士法」第3条に定められています。
(欠格事由)
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉士又は介護福祉士となることができない。
一 心身の故障により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うことができない者
として厚生労働省令で定めるもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他社会福祉又は保健医療に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 第三十二条第一項第二号又は第二項(これらの規定を第四十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
法律では、次の4つの場合に、社会福祉士または介護福祉士になることができないとされています。
介護福祉士の4つの欠格事由
- 心身の故障により、業務を適正に行えない者として厚生労働省令で定めるもの
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行終了などから2年を経過しない者
- 指定された社会福祉・保健医療関係の法律に違反して罰金刑に処せられ、刑の執行終了などから2年を経過しない者
- 所定の規定により登録を取り消され、取消しから2年を経過しない者
ここで注意したいのは、すべての犯罪歴が一律に欠格事由になるわけではないことです。
刑の種類や違反した法律、刑の執行が終了してからの期間などによって判断されます。
また、法律に定められた条件を満たす場合は、介護福祉士として登録された後でも、登録が取り消されることがあります。
試験では、欠格事由の内容だけでなく、「2年」という期間も覚えておきましょう。
なお、2025年6月の刑法改正により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
古い参考書や過去問では「禁錮」と記載されている場合があるため、現在の法律との違いに注意してください。
介護福祉士の義務と罰則について
介護福祉士には、専門職として守らなければならない義務や決まりがあります。
これらは「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められています。
介護福祉士に関係する主な規定は、次の6つです。
介護福祉士の義務は大きく6つ
- 誠実義務(第44条の2)
- 信用失墜行為の禁止(第45条)
- 秘密保持義務(第46条)
- 連携(第47条)
- 資質向上の責務(第47条の2)
- 名称使用の制限(第48条の2)
ただし、これら6つの規定すべてに、直接の刑事罰が設けられているわけではありません。
それぞれの意味と、違反した場合の取り扱いを確認していきましょう。
①誠実義務(第44条の2)
第四十四条の二 社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
誠実義務とは、利用者の尊厳を守り、その人の立場に立って誠実に介護を行うことです。
介護福祉士は、自分の都合だけで介護を行うのではなく、利用者の意思や希望を尊重する必要があります。
また、利用者が自立した日常生活を送れるように支援することも大切です。
試験のポイントは「個人の尊厳」「自立した日常生活」「利用者の立場」の3つです。
②信用失墜行為の禁止(第45条)
第四十五条 社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
信用失墜行為とは、介護福祉士としての社会的な信用を傷つける行為のことです。
介護福祉士は、専門職としての信用を損なう行為をしてはいけません。
例えば、利用者に対する虐待や不適切な対応などは、介護福祉士としての信用を大きく傷つける行為になり得ます。
信用失墜行為については、法律に直接の刑事罰が定められているわけではありませんが、事案によっては登録取消しや名称使用停止などの処分の対象になります。
③秘密保持義務(第46条)
第四十六条 社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
秘密保持義務とは、業務上知り得た利用者などの秘密を、正当な理由なくほかの人に漏らしてはいけないという決まりです。
利用者の病気、家族、生活状況などに関する情報も、適切に取り扱わなければなりません。
また、介護福祉士の資格を失った後も、秘密保持義務は続きます。
秘密保持義務に違反した場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
試験では、「資格を失った後も義務が続くこと」と「罰則があること」が重要です。
④連携(第47条)
第四十七条
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
2 介護福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、認知症(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五条の二第一項に規定する認知症をいう。)であること等の心身の状況その他の状況に応じて、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
介護福祉士は、利用者の心身の状態や生活状況に応じて、必要な福祉サービスや保健医療サービスが適切に提供されるよう、関係者と連携しなければなりません。
介護職員だけでなく、医師、看護師、理学療法士、介護支援専門員など、さまざまな専門職との連携が求められます。
例えば、利用者の体調に変化が見られた場合は、必要な情報を看護師などに伝え、適切な対応につなげることが大切です。
試験では「多職種連携」「情報共有」「利用者の状態に応じた支援」を意識しておきましょう。
⑤資質向上の責務(第47条の2)
第四十七条の二 社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
介護福祉士は、資格を取得した後も、介護に関する知識や技術の向上に努めなければなりません。
介護を取り巻く環境や制度は、時代とともに変化しています。
また、利用者の状態や必要とする支援も多様化しています。
そのため、研修への参加や日々の学習を通して、専門職としての知識や技術を高め続けることが大切です。
介護福祉士は更新制の資格ではありませんが、資質向上の責務は法律で定められています。
⑥名称使用の制限(第48条の2)
第四十八条
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
2 介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない。
介護福祉士は「名称独占資格」です。
介護福祉士の登録を受けていない人は、「介護福祉士」と名乗ることができません。
一方、介護福祉士の資格を持っていない人でも、法令上許される範囲で介護業務を行うことはできます。
ここが「業務独占資格」との違いです。
名称の使用制限に違反した場合は、30万円以下の罰金が定められています。
試験では、名称独占と業務独占の違いを理解しておきましょう。
| 違反内容 | 罰則・処分 |
|---|---|
| 秘密保持義務違反 | 1年以下の拘禁刑 または 30万円以下の罰金 |
| 介護福祉士の名称の不正使用 | 30万円以下の罰金 |
| 誠実義務・信用失墜行為禁止等への違反 | 直接の刑事罰がない場合もありますが、 登録取消しや名称使用停止などの 処分対象になり得ます。 |
※刑事罰と登録取消し等の行政処分は異なります。 実際の処分は、違反内容や法律上の要件によって 判断されます。
介護福祉士が行える医療的ケアとは?
介護福祉士は、一定の条件を満たすことで、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを行うことができます。
これは、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく制度です。
2012年4月から、一定の研修を修了した介護職員等が、医師の指示や看護職員との連携などの条件のもとで、喀痰吸引等を実施できるようになりました。
また、2016年度からは、介護福祉士の業務としても喀痰吸引等が位置づけられています。
ただし、介護福祉士の資格を持っていれば、誰でも自由に実施できるわけではありません。
必要な研修や登録などの条件を満たし、医師の指示のもとで安全に実施する必要があります。
実施できる医療的ケアの種類
口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部
胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養
喀痰吸引等を実施できる介護職員
喀痰吸引等を実施できるのは、必要な研修や登録などの条件を満たした介護福祉士、または所定の研修を修了し、認定を受けた介護職員等です。
介護福祉士の場合は、基本研修や医療的ケアを履修し、実地研修を修了した行為を介護福祉士登録証に付記するなど、所定の要件を満たす必要があります。
また、介護福祉士が喀痰吸引等を業務として行う事業所には、「登録喀痰吸引等事業者」としての登録が必要です。
一方、介護福祉士以外の介護職員等は、所定の喀痰吸引等研修を修了し、「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けるなどの手続きが必要です。
実施できる行為の範囲は、修了した研修や認定の内容によって異なります。
| 区分 | 対象 | 研修で学ぶ行為 |
|---|---|---|
| 第1号研修 | 不特定多数 | 喀痰吸引等の5行為すべて |
| 第2号研修 | 不特定多数 | 5行為のうち必要な行為 |
| 第3号研修 | 特定の利用者 | その利用者に必要な行為 |
※「5行為」は制度上の区分です。 実際に喀痰吸引等を行うには、 研修修了や認定、事業所の登録等の 条件を満たす必要があります。
ここでの「5行為」は、口腔内吸引、鼻腔内吸引、気管カニューレ内部の吸引、胃ろう・腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養という区分です。
したがって、最初の説明で「6つの実施箇所・方法」として示したものと、法定研修でいう「5行為」は数え方が異なります。
試験対策では、「第1号=不特定多数・5行為」「第2号=不特定多数・必要な行為」「第3号=特定の者」という違いを覚えておきましょう。
この区分は、所定の研修や認定に基づいて実施する介護職員等に関するものです。介護福祉士の登録証に行為を付記する仕組みとは区別して理解してください。
する必要があります。
医療的ケアのまとめ
喀痰吸引等は、介護福祉士が法律上実施できる行為の一つですが、資格を取得しただけで無条件に行えるわけではありません。
必要な研修や登録等に加えて、医師の指示、看護職員との連携、安全な実施体制などが求められます。
また、実施できる行為は、研修や登録の内容によって異なります。
試験では、「医師の指示」「看護職員との連携」「研修・登録」「実施できる行為の範囲」を整理しておきましょう。
まとめ
今回は、介護福祉士の根拠となる法律や定義、義務と罰則、医療的ケアについて解説しました。
介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく名称独占の国家資格です。
試験対策として、特に次の内容を押さえておきましょう。
- 介護福祉士は名称独占資格であり、業務独占資格ではない
- 国家試験に合格するだけでなく、登録を受ける必要がある
- 法律第3条には4つの欠格事由がある
- 介護福祉士には誠実義務や秘密保持義務などの規定がある
- 秘密保持義務違反や名称の不正使用には罰則がある
- 喀痰吸引等は、所定の要件を満たした場合に実施できる
法律に関する問題では、条文の一部を入れ替えた選択肢や、似ている用語を使った選択肢が出題されることもあります。
条文を丸暗記するだけでなく、それぞれの規定がどのような意味を持つのか理解しておきましょう。
特に、義務の名称、条文番号、罰則の違いは、過去問を使って繰り返し確認することをおすすめします。


