250時間で効率的にというけど、実際それはそれで大変ですよね…
試験勉強のほかに、気にするようなことはありますか?
試験勉強はテキストに向かって勉強することだと思っていませんか?
介護福祉士の試験は日頃の生活をちょっと工夫するだけでも合格に近づきますよ!
介護福祉士試験は、試験の性質からみても、生活習慣を工夫するだけで合格に近づくことができる試験です。
最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。
- 介護福祉試験の性質
- 介護福祉士試験合格に近づくための生活習慣
- 日頃の生活から学べること
介護福祉士試験の性質から考える試験勉強
合格に近づく生活習慣を送るために、まずは試験の性質をしっかり見てみましょう。
介護福祉士試験の性質
試験の性質は、その試験が何を求めている試験なのかを理解するとわかります。
あなたがチャレンジしようとしているのは、「介護福祉士」の試験ですよね。
では、介護福祉士はどんな資格ですか?
定義については、「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条に記されています。
(定義)
第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。2 この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰かくたん吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
・社会福祉士及び介護福祉士法(◆昭和62年05月26日法律第30号) (mhlw.go.jp)
この条文をまとめると、介護福祉士とは以下のような資格のことです。
「介護福祉士」とは
- 介護福祉士登録簿に登録されている人を指す
- 登録をしている人しか名乗ることのできない資格(名称独占の資格)
- 障害等で日常生活を営むことが難しい人に対して、心身の状況に応じた介護や介護に関する指導を業とする
介護福祉士は、身体上・精神上の障害で日常生活を送ることが難しい人に対する仕事です。
ポイントは「日常生活」。
つまり、自分も含め生活している日常そのものにヒントがたくさんあるということです。
介護福祉士が誕生した経緯とその後の移り変わり
介護福祉士の仕事の次に、なぜこの資格が生まれたのか背景を見ていきます。
資格が生まれた背景を知ると、何を求められている資格なのかがよりわかります。
急速な高齢化による介護需要の高まり
社会福祉士及び介護福祉士法が成立したのは、1987年(平成元年)。
法制化の背景には、深刻な少子高齢化が大きく影響していました。
平成2年版の厚生白書によると、1989年(平成元年)10月時点の65歳以上の人口(老年人口)は1,431万人。
総人口に占める割合は11.6%でした。
日本の65歳以上の人口は、昭和24年以降上昇を続けているだけでなく、その上昇スピードも他の国のと比較にならないくらい早いものでした。
老年人口は急速に上昇を続け,平成33年(2021年)には23.6%のピークに達すると予測されていました。
家族機能、世帯構造の変化
急速な高齢化と同時に、日本は、家族機能も大きく変化をしました。
同厚生白書によると、1989年(平成元年)の総世帯数は、3,941万7千世帯。
このうち65歳以上の人がいる世帯は、1,077万4千世帯で、全体の27.3%を占めていました。
また、高齢世帯も増加の一途を辿っており、平成元年には初めて全体の1割を超えた年となりました。
日本社会の変化により生まれた資格の必要性
これらの変化はどのような課題(ニーズ)につながるのでしょうか。
家庭内において家族を中心として行われてきた「介護」を仕事(業)として社会の中で認知させていく必要が出てきました。
また、急速な高齢化により、より専門的な知識や技術というものが求められるようになってきたのです。
「心身の状況に応じた」介護に含まれる意味
もともと1945年(昭和20年)以前は、介護は家族によるものが中心でした。
終戦後、日本では様々な福祉制度が制定されていきますが、その中で昭和30年代に入所施設において「介護」が制度化されます。
福祉六法成立の順からもわかるように、身体障害者に対する介護が主なものでした。
そこから、認知症高齢者の増加、また精神障害者など、介護ニーズが変化かつ多様化したこともあり、定義は「心身の状況に応じた介護」となっています。
これも課題(ニーズ)の変化から生まれたものです。
医療的ケアも社会の移り変わりで必要となった行為
2011年(平成23年)から、介護福祉士等の喀痰吸引・経管栄養業務等医療的ケアができるようになりました。
これも、特別養護老人ホームにおいて、医療の処置が必要な入所者が増加し、たんの吸引等が必要になっても引き続き同じ施設で生活を続けられ、又はそれを理由に入所を拒まれないようにというところから検討が始まり、法律改定されました。
これらの変化は日常生活していると感じることばかりだと思いませんか?
土台となる知識は、日本社会の変化を客観的に見ることでしっかりと身につけることができます。
認知症についても、最近ではテレビでも取り上げられることが増えましたよね。
報道特集だけでなく、ドラマなどでも。
それだけ社会問題化しているということです。
この社会課題を色濃く取り扱っているのが、TBSで長年放送されていた「渡る世間は鬼ばかり」。
家族機能の移り変わり、家庭内介護、育児と介護、女性の社会化…
制度の移り変わりとなる課題(ニーズ)がこれを見ると背景がわかります。
このように、介護福祉士の試験の性質は、日本社会の課題から制度化されたものです。
日本社会の課題に少し敏感になるだけで、試験勉強に活かせるものがあります。
合格に近づくために取り入れたいたった3つの生活習慣
介護福祉士試験の性質から、合格に近づくためにぜひ取り入れてほしい生活習慣を3つお伝えします。
①普段の家事で生活支援に必要な知識を身につける
介護福祉士の試験は範囲が広い。
そう思ってしまうかもしれませんが、介護福祉士試験は日常生活から身につけられる知識=試験対策になるものも多くあります。
例えば洗濯…
第33回の試験にこんな問題が出題されました。
問題51 図の洗濯表示の記号の意味として,正しいものを1つ選びなさい。
- 液温は30℃以上とし、洗濯機で洗濯ができる。
- 液温は30℃以上とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。
- 液温は30℃以上とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。
- 液温は30℃を上限とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。
- 液温は30℃を上限とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。
(介護福祉士国家試験 第33回 問題51)
正解は4番。
普段から洗濯をする際に、衣類の洗濯表示を気にしていると解ける問題です。
洗濯表示の一覧を覚えようとするとついつい暗記になりがちですが、生活する上での知識として少しずつ身につけるように意識をしてみてください。
②多くの人が集まる場で、障害分野に必要な知識を身につける
障害者基本法は、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく共生する社会を実現するために、障害者の自立や社会参加の支援等の基本原則を定めています。
障害者の自立、社会参加がポイントです。
「自立・社会参加」の考え方は、障害者に限らず高齢者にもあてはまることです。
これらの目的のために、2006年(平成18年)に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)ができ、建築物、公共交通機関等の基準が設けられました。
他にも、東日本大震災の教訓のもと、災害対策基本法が改正され、避難場所の表示で用いられている図記号が統一されています。
第31回の試験でこんな問題が出題されています。
問題22 防災に関する次の図記号が意味している内容として、正しいものを1つ選びなさい。
- 避難所
- 避難場所
- 土石流注意
- 地滑り注意
- 津波注意
(介護福祉士国家試験 第31回 問題22)
正解は2番。
多くの人が集まる商業施設、行政などの公的機関で様々な標識を見ますよね。
これらのマーク(標識)は「誰でもわかるように」が基本となっていますので、公共交通機関を利用すると、目にすることも多いです。
第30回にはこのような問題が出ています。
問題43 図はU駅のホームの見取図である。介護福祉職が視覚障害者と列車を待つときの位置として、適切なものを1つ選びなさい。
- A
- B
- C
- D
- E
(介護福祉士国家試験 第30回 問題43)
正解は、5番です。
今では社会生活でよくみられるようになった点字ブロック。
日常社会にある障害者の方への配慮として、介護の仕事をしているしていないに関係なく気に留めておきたい問題でもあります。
手元のスマートフォンばかり見るのではなく、ちょっと周りの標識や、建物のつくりを意識するだけも試験対策に役立つヒントがあります。
③制度などの知識は「自分ごと」として身につける
どうしても詰め込み式になりがちな試験勉強。
制度などは覚えることも多いし、言葉も難しいのでついつい後回しなんて人も多いのではないでしょうか。
繰り返しにはなりますが、介護福祉の課題は、日常の生活の課題から生まれたことばかり。
ということは、今はその環境になくても、いずれは自分も同じ課題にぶつかる可能性があるということです。
自分の親族に介護が必要な人が出たらどうしたらいい?
認知機能の低下で財産管理など危なくなったらどうしよう…
手続きはどうしたらいいの?
窓口はどこ?
どんな流れで利用できる?
介護の仕事とは直接関係ないと思いがちな年金制度も労働基準法も育児・介護休業制度も、自分が日本で生活する上で学んでおいて損はないことばかりです。
せっかくなので、このタイミングで専門的に身につけてしまいましょう。
まとめ
今回は、介護福祉士試験合格に近づくための生活習慣をお伝えしました。
介護福祉士試験は、普段の生活から身につけられる知識が多い試験です。
テキストでの学習も必要ですが、身の回りから得られる知識は積極的に日常生活から取り入れてください。